2024年の欧州COTYに輝いたセニック E-テック
欧州市場では、使い勝手のいいファミリーカーを検討する時、SUVへカテゴリーが絞られがち。この土地でのミニバン人気は低調で、選択肢が少ないためだ。
【画像】祝!2024年の欧州COTY ルノー・セニック E-テック 競合サイズの電動SUV 日産アリアも 全138枚
従来までスタイリッシュなワンボックスだったルノー・セニックも、最新版ではバッテリーEV化され、クロスオーバーへ生まれ変わった。それでも、これまで強みだった車内の広さや実用性の高さは、受け継がれたという。
加えて、幸先の良いスタートも切っている。2024年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)に輝いたのだから。新しいボルボEX30やBMW 5シリーズ、トヨタC-HRなど、並み居る強豪を抑えて。
現在、英国で提供されているセニック E-テックは4種類。ベースグレードは、60kWhの駆動用バッテリーと170psのモーターを搭載。19インチ・ホイールに12.3インチと12.0インチのツインモニター、グーグルベースの音声アシスタントを標準で装備する。
中級グレードでは、駆動用バッテリーが87kWhへ増量。モーターも218psへ強化される。その1つ、エスプリ・アルピーヌを選択すると、ホイールは20インチになり、スポーツシートなどを獲得。ブルーのステッチが、インテリアを彩る。
トップグレードはアイコニックで、ハーマン・カードン社製ステレオにパノラミック・ガラスルーフ、360度カメラ、カメラ式デジタルミラーなどを実装。写真のようなツートーン塗装は、1250ポンド(約24万円)のオプションだ。
E-3008以上に広いリアシート
見た目はスタイリッシュ。サイドウインドウは後方で跳ね上がり、リアガラスは小さめ。フロントマスクは、ルノーのロゴが巨大だが、若干プジョーに似ているかも。とはいえ、モダンな印象で新鮮味は強い。
プラットフォームは、日産アリアと同じCMF-EV。ツインモーターでの四輪駆動は予定されていない。
今回試乗したのは、87kWhと218psの組み合わせ。航続距離は624kmが主張され、60kWhでは429kmへ短くなる。ちなみに、このバッテリーはメガーヌ E-テックより6%もエネルギー密度が高いそうだ。
DCでの急速充電能力は、最大150kWと優秀。高効率な、ヒートポンプ式エアコンが標準となる。
それでは、後ろから車内を見ていこう。テールゲートを開くと、545Lの荷室が現れる。四角い空間で、荷物は積みやすいだろう。充電ケーブルは床下に収納できる。
40:20:40の分割で倒せる背もたれは、荷室の床面とフラットにならない。大きめのベビーカーなどを載せる場合は、少し持ち上げて奥へ押し込む必要がある。腰痛持ちの方は、注意されたし。オプションで、フラットにできるフロアを装備できる。
リアシートは、前後方向に広い。E-3008以上にゆとりがあり、広大なガラスルーフと相まって、開放感はかなりのもの。中央のアームレストを引き出せば、スマートフォンを充電可能。息子の身長が180cmを超えても、不満は出ないだろう。
ただし、チャイルドシートは、2脚しか固定できない。リアシートは、スライドやリクライニングしない。もう少し、レイアウトに自由度があってもいい。
上質な内装素材 公道では充分以上の218ps
フロントシートの雰囲気は、ワンボックスというより大きなハッチバックのよう。後方視界は限定的で、斜め前方は大きいドアミラーが死角を作っている。
インテリアの素材は上質。試乗車だったアイコニック・グレードには、部分的に高級感のある合成皮革が用いられ、テキスタイルの表情も悪くない。これらは、約80%がリサイクル素材から作られたという。
ダッシュボードのデザインは、ルノー・オーストラルと似ている。中央に12.0インチのタッチモニターが据えられ、多くの機能のインターフェイスになっているが、エアコン用のハードスイッチも残され操作性は優れる。
インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。タッチモニターは縦長で手を伸ばしやすく、ショートカットキーやグーグルマップなども機能的だと感じた。
ステアリングコラムからは、右側へ3本のレバーが突き出ている。シフトセレクターとウインカー、オーディオに割り振られているが、慣れるまでは誤って違うレバーを触れてしまうかも。
ドライブモードは、メガーヌ E-テックと同じマルチセンスを実装。パーソナル、コンフォート、エコ、スポーツの4モードを選べ、アクセルレスポンスやステアリングの重さ、間接照明の色などを切り替えられる。
全般的に落ち着いた乗り心地 優秀な電費
加速は鋭く、218psのパワーは公道では充分以上。0-100km/h加速は7.9秒で、出だしは力強い。直感的にスピードを調整できる点も美点だ。
回生ブレーキは3段階に強さを選べ、完全にオフにし、惰性走行も可能。最も強い状態ではワンペダルドライブに迫る制動力を得られ、下り坂ではエンジンブレーキのように活用できる。
活発に走らせると、若干ブレーキの反応に不安定さが感取された。日常的な条件なら、まったく違和感はないはず。
ダンパーは可変式ではないが、減衰特性の調整が巧みで、姿勢制御を引き締めつつ乗り心地は優しい。積極的に旋回するとボディロールが小さくないものの、不安を煽るようなものではない。全般的に落ち着いている。
路面の凹凸を超えても、不快な衝撃はなし。車内は静かといえ、ロードノイズは最小限に抑えられている。ステアリングは、スポーツ・モード以外は軽め。反応は自然で、フロントタイヤのグリップ力も高い。試乗車のホイールは、20インチだった。
高速道路でも、好印象は変わらない。ステアリングは切り始めの反応が若干クイックに転じるが、強いていえば、という程度。風切り音は、良く聞こえるようになる。運転を楽しめるタイプではないものの、堂々・悠々と先を急げる印象に充足感が生まれる。
電費は、市街地や郊外などを複合的に走らせた今回の平均で、5.6km/kWhと優秀。カタログ値から、0.3km/kWh下回っただけだ。
バランスの良い堅実な選択肢
英国価格は、60kWhのベースグレードが3万7495ポンド(約709万円)から。87kWhのアイコニックでは、4万5995ポンド(約869万円)へ上昇する。テスラ・モデルYやヒョンデ・アイオニック5より、低めの設定といえる。
徐々に選択肢が増えている、電動ファミリー・クロスオーバー。バランスの良い仕上がりのセニック E-テックは、堅実な選択肢になるだろう。
ミニバン並みの汎用性はなくても、現在のライバルと比較すれば実力は低くない。実用性や航続距離、車内空間の広さ、インテリアの質感などは、間違いなくストロングポイント。市場の人気を掴むのではないだろうか。
◯:快適で落ち着いた乗り心地と操縦性 回生ブレーキの制御 優れた電費
△:ミニバン並みの汎用性はない 若干劣る運転席からの視認性
ルノー・セニック E-テック・ロングレンジ・アイコニック(欧州仕様)のスペック
英国価格:4万5995ポンド(約869万円)
全長:4470mm
全幅:1864mm
全高:1571mm
最高速度:168km/h
0-100km/h加速:7.9秒
航続距離:624km
電費:5.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1860kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
バッテリー:87kWh(実容量)
急速充電能力:150kW
最高出力:218ps
最大トルク:30.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
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